僕は最近、ホモ・サピエンスがアフリカを出て世界中に拡散した過程についてよく考える。
我々の祖先がアフリカの大地を出てさまざまな環境に適応していく過程は、困難の連続だったに違いない。それぞれの個体がさまざまな試行錯誤を行い、生存の道を切り開いた。そう思う。そこには無数の失敗があったに違いない。偶然にも環境に適応する術を編み出したものが生き残り、それに続く者がいた。そんなことの繰り返しではなかったろうか。
そんなことを考えながら、同時に、今の世に生きる人たちの人生についても考える。それぞれが困難な人生を生きている。それでもなんとかもがいて、自分の生きる道を切り開こうとする。失敗も無数にある。成功を手に出来るのはそう多くはない。しかし、もっとも大切なのは、新たな道を切り開くことであり、その成否はさほど重要ではない―すくなくとも個人にとっては。自ら切り開いた道が、人類が生き残る道となるかどうかはおそらく別の問題なのだから。
僕が興味があるのは、我々の祖先はどのような能力で自ら生きる道を切り開いてきたか、ということ。そして、そのような能力の生物学的な背景についてである。
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