2011年5月29日日曜日

日本茶、峠の茶屋

昨日、会津の斎藤清美術館にいってきた。「春粧のころ」という特別展を見るために。

国道115号を会津方面へ向かう。観山荘の前で左折し、土湯峠の旧道に入る。緑のトンネルはすでに完成しており、気持ちの良い森林浴が楽しめた。湿気を含んだ空気が緑の色彩をより鮮やかにしている。窓をあけると、小鳥のさえずりと木々の静けさが気持ちの良い風とともに車内に入ってくる。

土湯トンネルを抜けるとカラマツの新緑が目に飛び込んでくる。若々しく瑞々しい色だ。旧土湯峠の森林浴があまりにも気持ちよかったので、二匹目のドジョウを得んと、レークラインへとハンドルを切る。峠の茶屋でトイレを借りた。

茶屋では、おばさんにお茶と地で採れた山菜を振舞ってもらった。ウドとヒメタケ。ウドの和え物も、ヒメタケと鯖缶の煮物もどちらもうまかった。最初、お茶とともにウドの和え物を頂いたのだが、「こんなところまでくる若い人は珍しいから」とヒメタケと鯖間の煮物を大きな鍋から取り出して振舞ってくれた。おばさんは手料理を振舞ってくれながら、いまだ避難生活を余儀なくされている人たちの話を聞かせてくれた。
いまだ生活再建の道筋すら見えない避難者は、当座の資金として支給された金と今までのたくわえだけを頼りに生活している。つかったら使った分だけ金は減り、増えるあてはどこにもない。どこに行くにも、何をするにも残りの金を勘定し倹しい生活を送っている。そんな話を、ガソリン代を気にしながらも気分転換にドライブにやってきた避難者から聞いたのだそうだ。
先日のNHKニュースでも同じようなことが取り上げられていた。幼い孫を含む三世代家族は、仮設住宅に移ることはできたものの、生計を立てる手段が何一つないまま細々と暮らしていかなければならないとのこと。家族でカップラーメンをすすっている映像に切なくなってしまった。

レークラインは土湯峠から裏磐梯へと抜ける有料道路。秋元湖、小野川湖、桧原湖のほとりを走っているのでその名前がついた。車を停めて景色を楽しむために、ところどころに駐車場が設けられている。三湖パラダイスと名のついた駐車場からは磐梯山の北壁眺めながら、左手に秋元湖、右手に小野川湖・桧原湖を望むことができる。これらの湖は明治年間に起こった磐梯山の大噴火でできた堰止湖である。この大噴火で、北麓のおよそ15の集落や村が埋没し、477名が死亡した。裏磐梯に散在する巨大な岩石はこのとき火山から吹き飛んできたものだという。当時の被害が甚大なものであったことは想像に難くない。しかしいまや、木々は生い茂り、湖畔にまで迫っている。

裏磐梯に入ったところで、ちょうど昼時になったので以前に行ったことのある蕎麦屋にむかった。鴨そばがうまかったのと、食後に頼んだコーヒーが果物のように甘い香りをしていたのを記憶している。しかし、残念ながら閉まっており、入り口には「今年は那須に支店をだしました」との張り紙がしてあった。

昼食の当てもないままとりあえず、ゴールドラインを通って表磐梯へと抜ける。磐梯山の雪はほとんど消え、北側からはその噴火口が荒々しい姿を見せている。表(南)側に抜けると、さきほどの荒々しさは消え、山肌に緑をたくさん蓄えた雄大な姿に変わる。その山肌を大きな雲の塊がゆっくりと駆け上がっていく。

ゴールドラインを出て、表磐梯の麓に差し掛かったところで蕎麦屋の看板をみつけた。遅い昼食をここでとることにした。蕎麦屋の名は「そばさだ」。おしながきの裏には、その店を紹介する記事の切抜きが入れられていた。「数々のそばうちコンテストで受賞歴のある店主が自宅を改装して店を開いた」との紹介の通り、生活感の溢れる店内であった。客間は、店となる前は居間であったことが用意に想像できた。トイレを借りるために障子を開けると、そこは板間になっており、おばあさんが収穫してきたヒメタケの皮をむいているところだった。

ざるとイワナの塩焼きを注文する。出てきたざるにはつゆと薬味のほかに、茹でたぜんまいや筍のおでん仕立て、キュウリとニンジンの浅漬けが品よく盛られた小皿がつけられていた。そばの瑞々しさに感動。つゆをつけるのがもったいないほど瑞々しく、うまい。半分以上はつゆをつけずに食べた。イワナの塩加減もよい。偶然ながら、良い店をみつけたことに満足して店を出た。道を挟んで向かいの母屋では、縄につながれた犬が人恋しそうにこちらを見ている。あんまり人恋しそうにするので、こちらもうれしくなって近づいていってしばらく遊ぶ。

会津若松から県道33号線を下って柳津に向かう。右手に広がる山脈はまだ多くの雪が残っていた。只見川にかかる瑞光寺橋をわたって柳津に入る。すぐ右手に美術館がある。小さいが形の良い建物。中の休憩室からは只見川と瑞光寺橋、円蔵寺を一望できる。只見川の向こう岸に広がる風景はは斎藤清の作品世界そのもののようだ。機会があればこの辺を散策してみるのも面白そうだ。「さつきの会津」という作品は、まさにこの眼前に広がる風景のようであり、小さい頃よくあそびにいった母の実家あたりの風景のようでもある。ここにもまた、自然と向き合って生きてきた人たちの暮らしがある。

ミズバショウをモチーフにした「春粧」「初夏」、「さつきの会津」、「冬の会津」の絵葉書を購入して美術館をあとにした。美術館では、購入したチケットともにパンフレットと「がんばろう東北・がんばろう福島」と書かれた小さなしおりをもらった。しおりには四葉のクローバーの押し花が添えられていた。

昨日の飲みもの
峠の茶屋で振舞われたお茶

イナゴの佃煮を試食。生まれて初めて食べたが、見た目とは裏腹にかなりおいしい。ふきのとうのしょうゆ漬けとともに購入。白いご飯に良くあう。

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